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さまざまな病気

こころ 不眠


「なかなか寝つけない」「夜中に目が覚める」「熟睡できない」「朝早く目が覚める」など十分な睡眠がとれない状態が続くことを不眠といいます。不眠が長く続くと心身に不調があらわれることもあります。生活習慣やストレスが原因で起こる他、疾患が原因になることもあります。

日常生活から考えられる原因

急激な環境の変化

進学や就職、転勤や引っ越し、結婚など、家庭や職場での急激な環境の変化は、ときに大きなストレスを生み出し、不眠の原因となります。

睡眠環境の悪さ

部屋の温度や湿度が高すぎたり、低すぎたり、あるいは部屋が明るすぎたり、音がうるさかったりすると、なかなか眠りにつけず、快適な睡眠が得られません。

不規則な生活

朝寝坊や長い昼寝、夜更かし、不規則な勤務形態など、昼と夜の区別がない生活は不眠を引き起こしやすくなります。さらに運動不足や、寝る前の過度の飲酒・喫煙も不眠の原因となります。

加齢による眠りの質の変化

年齢を重ねると、若い頃に比べ眠りが浅くなり、ぐっすりと眠れる時間が少なくなって、夜中に目覚めてしまうことが多くなります。

女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)のバランス変化

卵巣でつくられる女性ホルモンには、エストロゲンとプロゲステロンの2種類があり、どちらも女性の眠りに大きな影響を与えます。生理前はエストロゲンの増加で体温が上昇して夜の眠りが浅くなり、昼間、眠気が強くなることがあります。また、妊娠中の初期はプロゲステロンの分泌が増えるので眠くなるものの、後期はプロゲステロンの分泌が減り、エストロゲンが増えるために不眠が起こることがあります。

不眠の原因となる主な疾患

代表的なものに、睡眠時に呼吸停止を起こす睡眠時無呼吸症候群(SAS)があります。心因性の疾患では、自律神経失調症やうつ病が原因となって不眠を引き起こすことがあります。また、更年期障害の一つの症状として不眠になることもあります。

不眠をともなう疾患・症状

不眠症

とくに疾患が見当たらないのに、床についてもなかなか眠れない、熟睡できず途中で何度も目が覚める、朝早くに目覚めてその後寝付けない、悪夢にうなされるといったこともあります。熟睡できないため疲労感がとれず、朝起きる気力が出ないなど日常生活に支障をきたすような状態が続くのが不眠症です。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

肥満などが原因で睡眠時にのどのところで気道が閉塞し、10秒以上の呼吸停止が30回以上ある状態です。睡眠時間を長くとっても疲れがとれない、だるい、睡眠時の大きないびきや無呼吸発作といった症状があらわれます。睡眠中の無呼吸は、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めるといわれています。多くの場合、睡眠時無呼吸は昼間の突然の発作時睡眠を合併します。

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睡眠時の無呼吸

自律神経失調症

ストレスなどが原因で自律神経が乱れ、心や体に不調があらわれた状態です。不安や緊張、抑うつなどの心のトラブルをはじめ、多汗、全身の倦怠感、頭痛、肩こり、手足のしびれ、動悸、不整脈、めまい、不眠などの症状があらわれます。あらわれる症状は人によって大きく違うのが特徴です。

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ストレス 自律神経の乱れ

うつ病

特別な疾患がないのに、だるさや疲れがとれず、気力が低下したり、落ち込んだりして興味や楽しい気持ちを失い、それを自分の力で回復するのが難しい状態に陥るのがうつ病です。食欲の減退、睡眠障害、集中力の低下をはじめ、体の動きが鈍ったり、逆にイライラして焦る気持ちが強くなったり、疲れが激しくなるなど、心と体の双方に症状があらわれます。

更年期障害

閉経の前後、約10年間をさす更年期を迎えると、女性ホルモンのバランスが急激に変化し、心や体にさまざまなトラブルを引き起こします。症状には、不眠の他に疲れやだるさ、肩こり、のぼせやほてり、イライラや気分の落ち込みなどがあります。

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更年期障害

日常生活でできる予防法

毎日同じ時間に起き、朝の光を浴びる

毎日同じ時間の起床を習慣化すると、眠りをコントロールする生体時計のリズムが整い、夜の寝つきも良くなります。また、起床したら、朝の光を浴びる習慣をつけましょう。生体時計がリセットされ、体の機能だけでなく感情をコントロールする脳内物質が活性化します。

寝る前は、脂肪や刺激物、糖分を避けて

脂肪分は体内での分解に時間がかかるため、油をたくさん含んだものを夜遅くに食べると、夜中まで胃が消化活動を続け、良く眠れなくなります。強い香辛料などの刺激物や糖分も、神経を高ぶらせるので、避けた方が良いでしょう。

アルコールやタバコ、カフェインを含む飲みものを控える

アルコールやタバコは、脳を刺激し活性化するため、寝る前はとらないようにしましょう。また、コーヒーや紅茶、緑茶に多く含まれるカフェインには脳を覚醒させる働きがあり、その効果は3~4時間続くので気をつけましょう。

上手な入浴で、深い眠りを得る

眠る30分~1時間前に入浴はすませましょう。入浴は、40℃以下のぬるめのお湯にゆったりとつかりましょう。足湯や手浴(洗面器などに45℃くらいのお湯をはり、5~10分手首をひたす)もおすすめです。また、入浴後の軽いストレッチ運動は心身をリラックスさせ、心地良い眠りへと誘ってくれます。

睡眠環境を整える

眠るときは真っ暗か月明かり程度の明るさに。室温は夏は26℃前後、冬は18℃前後、湿度は1年を通して50~60%に保つと良いでしょう。ただし、年齢や住む地域によって、明るさや温度・湿度の感じ方は違います。また、ベッドや枕は吸湿性・通気性・弾力性などにこだわり、寝返りの打ちやすい体にあったものを選びましょう。枕の高さは顔の角度が5℃くらいになるものがベストですが、一番は自分にとって快適と思える環境を整えることです。

対処法

自分なりの眠り方を習慣化する

ぐっすり眠るため、音楽を聴く、本を読む、ストレッチをするなど、自分がリラックスできることを習慣にしましょう。 また、心地良い眠りを誘う香りとしてラベンダーやカモミール、サンダルウッドなどが知られています。アロマポットやアロマライトを使って香りを楽しむのもいいでしょう。

無理に眠ろうとしない

眠れない日が続くと、「また眠れないのでは?」と不安になって、焦れば焦るほど眠れなくなることがあります。こんな風に眠れないときや、夜中に目が覚めて眠れなくなったら、いったんベッドから出てみましょう。そして、音楽を聴いたり、ビデオを見たり、自分にとって一番リラックスできることで過ごしてみましょう。

病院で診察を受ける

不眠の状態が続き、日常生活にも影響が出るような場合は、主治医に相談するか、心療内科、精神科、呼吸器科、クリニックの不眠外来で診察を受けましょう。

旅先で困る、時差ボケの解消方法

楽しみにしていた海外旅行なのに、時差ボケで寝られず、疲れてしまった…そんな経験はありませんか。これは急激な時間変動に体が対応できず、眠りのリズムが崩れてしまうためです。現地到着が日中であれば機内で睡眠をとり、夜の場合は機内で起きています。そして、到着後すぐに現地時間にあわせて行動すると、時差ボケが軽減できます。